「床が落ちたんだけど・・・。」
昨年の春先に、僕よりももっと古い(築70年)民家に住んでいる札幌の友人から電話がありました。
庭先の林にセリが自生している気持ちの良い所に立つ古いお家で、季節にはセリを摘ませてもらいに何度かお邪魔している友人宅です。
早速、お宅に伺って現状を確認したところ、
床だけではなく、土台もスカスカ、土台がのっている基礎コンクリートも風化したようにサクサクと崩れつつあります・・・。
こりゃ大変だと、床を全部はがして土台も取っ払って、地杭(じぐい)というコンクリート製の束を支持するためのコンクリートを住人が練って・・・と、住人を巻き込んでのDIYワークショップがバタバタと始まりました。
二匹の子猫ちゃんは、突如現れた床下の世界に冒険に出かけます。
今日は、そんな工事をしたお家の床のその後の様子をうかがいに行ってまいりました。
本の蔵書が大量にある方で、直した床の部屋は図書館のように本が積み上げられていますが、床はしっかりと耐えてくれているとのこと・・・。ひと安心です。
家全体の老朽化がだいぶ進んでいる住宅なので、直したところはしっかりしていますが、他にも心配な部分はいろいろあります。
お茶をいただきながらまったりしていると、
「古い家をなおしながら住むのは最先端の生活だからね・・・」と、友人はつぶやきます。
日本の住宅の平均寿命は26年と言われています。
アメリカは44年。イギリスは75年。
この差はどこから生まれてきたのか。
一般的には、戦後の過度の住宅不足の時代に低品質の住宅が大量に作られたことや、中古の住宅の流通が活発でないこと(通常、築15年で住宅の価値は0になると言われています。)、リフォームがしにくい間取り、構造になっていることなどが挙げられています。
エコ住宅。エコカー(減税)。エコプロダクツ・・・。
コエコエコエコ、世の中にはエコが渦巻いています。
それは誰かが唱える呪文のようにも聞こえてきます。
エコカーを一台作るためにどのくらいのエネルギーが費やされているか。
エコ住宅を作るためにどれだけの森林が伐採され、大量のゴミが排出されているか。
エコなものをひとつ作る前に、まだ使えるものを一つ見つける方が、なんかエコっぽくない?
っていう、普通に考えるとすごく納得できる価値観をしっかり持っていたいと思います。
子供に分かりやすく伝えられる言葉でエコを考えたいと思っています。
「じゃぁ、おじさんはどうして新しいお家や、ピカピカの家具を作っているの?」
と、将来、かわいらしい女の子に目をきらきらさせて尋ねられた時に、
「おにいさんは、○○△▽□□だから、新しいものをつくっているんだよ。」と、ちゃんと答えてあげられる哲学を持ちたいと思っています。
思想であり、物語りのあるモノ作りをしていきたいと思っています。
そうか、自分の生活は最先端だったのか・・・。
今の時代は、古いものから新しい価値観を探しに行くことがフロンティアなのかもしれないな・・・。
そういえばあの人も、古い本を集めては、新たに必要とする人に手渡しているものな・・・。
そんな仲間が身近にいることは心強いものです。
ヘンに納得した真冬の星空の下、帰路につきました。