のんびり作る家具。
今日は、ここ数週間、二児の小さな子供がいるお父さんと一緒に制作していたブレキエーション梯子の搬入日です。
今回は一緒に作ることということで、お父さんの休日などに合わせてのんびりペースで制作しました。
いわゆる家具職人は、図面をもとに、いかに早く、寸分の狂いもなく作ることができるか?というようなところに職人技を発揮するのですが、僕のモノ作りはそういう意味ではちょっと違います。
ゆっくり作るということは、作りながら考える暇もいっぱいあるということでもあって、作りながら考えるいろんなことがカタチに反映されます。
作業の後、お風呂に入りながら、「そういえば・・・」と思いついたことが、翌日の作業に反映されます。
お父さんと一緒に作りながらのやり取りや、作る中で生まれる疑問を現地で確認する作業の中から、本当に必要な機能や安全性について、ひとつひとつ確かめて、カタチになっていきます。
それは、職人とデザイナーが分業化されたあとの、一般的な制作の現場とはまったく違う方法でのモノ作りです。
そのヒト、その家族にとって、本当にフィットするモノを一緒に考えるというモノ作りです。
考えることを共有する。
作ることを共有する。
それは、おカネを用意すればあの雑誌に載っている素敵なものが手に入るとういうようなことではなくて、モノが生まれる瞬間に立ち会うことができるという素敵な体験でもあります。
だから僕は、素敵なものを僕が作るのではなくって、モノが(空間が)生まれる瞬間を、お客さんと共有したいと思って仕事をしています。
じゃぁ、僕が作っているのでは家具というモノではなくて、家具が生まれるというコトをつくっているのかな・・・?
ひとり家具に仕上げのヤスリがけをしながら、深夜の工房でそんなことを考えます。
そんなのんびり作業の後、いよいよ搬入される朝のブレキエーション梯子のパーツ達です。