バックカントリーのメッカ、三段山(上富良野)に行って来ました。
音更(オトフケ)の山の会の冬の山行に、毎年同行させていただいていて、今年で3度目になります。
年一回、この場所でしか会わない、山の大先輩達も、「お、今年も来たねー。今年も登ってるかい?」と、とても暖かく迎えてくれます。
今年は別の山の会の方も何人か同行していて、20数名の大所帯です。
老若男女、スキーにボード、スノーシュー。それぞれのスタイルで山に入ります。
山奥に向かって、ズンズン進んで行き、雪を重たそうにまとった巨人のような木々の間を縫うように、高度を上げていきます。
山は団体行動が基本ですが、ここではそれぞれの体力に合わせて、「じゃぁ自分はこの辺でおりまーす。」ってかんじで、一人、二人と、下山していきます。晴れていればわかりやすい地形なのと、下りた先にすぐ山小屋があることが、そんなスタイルを可能にしていて、それもこの山の魅力です。
山の会の中では若い方である僕は、最前線でラッセルも兼ねてガシガシ山頂を目指します。
林の中を過ぎると、次第に木の生えない森林限界の世界に入っていき、木がないことで吹きっさらしになった風景が広がります。
夏も冬も、この森林限界に入る瞬間の緊張感に山の魅力はあります。
辛いんだけど、心地よい。
その二つは背中合わせですぐ近くにあるものだという、人生の縮図のようなものがここにはあるのかもしれないな・・・。
なんて、下界ではあまり思いつかないようなことを考える時間と心の状態が山の上にはあります。
そしてドンドン勾配がきつくなっていく斜面をスノーシューで直登して高度を稼いでいきます。
頂上に続く最後の稜線の上に立つと、風雪は冷たいのではなくて、痛いというか、ヤバい、怖いというくらいの凶器になって肌の露出している部分をビシバシ攻めてきます。
それに打ち勝って頂上に立つと、30年分くらい老けこんだ、こんな顔になります。
やったぜ。
あとは、急な谷間の天地無用の無重力感に真っ逆さまで、温泉ビールの無重力感へと直滑降です。
二泊三日の合宿で、登って滑って温泉でふやけて、お酒と美味しいご飯を食べて、明日の山をイメージしながらぐっすり眠る・・・という、山の上の極楽浄土がそこにはあります。
ここでは、滑って温泉、滑って温泉を3回繰り返すためか、筋肉痛やだるさが全く残りません。
山の上での心地よい浮遊感の感覚だけが、二日たった今でも体の奥の方に残っています。
そんな余韻を楽しみながら、次に山に繰り出す予定を立て始める感覚が、この土地の冬を楽しむための、ゆるやかなリズムです。